軽井沢の隣町である長野県の御代田町の令和7年(2025年)第3回定例会において、御代田町の監査報告および決算審査で「不作為(法律や規程でやるべきと定められている義務をやらないこと)」をはじめとする深刻な問題が相次いで明るみに出ました。これはまさに行政運営としてあり得ない異常事態の露呈です。
この衝撃的な事実を受け、まともな自治体はどう運用しているのかを調査した結果、高度な内部統制と透明性を重視する「芦屋市」がロールモデルとして浮かび上がりました。
奇しくも御代田町の小園ひろし町長(40代)と芦屋市の髙島崚輔市長(20代)は、年齢こそ違えど同じ「灘高から東京大学卒」という日本トップの学歴を持っています(髙島崚輔市長は、東大とハーバード大を卒業)。
今回は、客観的記録が突きつける両自治体の「残酷な格差」と、小園町政の目を覆うような惨状を紐解いていきます。
小園町長がもたらしたモラル崩壊とズサンな行政
ガバナンスの欠如は単なる役所の身内話ではなく、住民の血税と生活を直接脅かす致命的な問題です。最新の監査報告や議会資料を精査すると、小園町長の下で起きている御代田町の惨状は、町政全体のマネジメントと内部統制に重大な問題を突きつけています。
過去には5,000万円超の公印不正・決裁飛ばし事件を起こし「ルールを知らなかった」と説明した小園町長ですが、その後も行政運営をめぐる問題は止まりません。
令和7年第3回定例会では、大きく分けて4つの問題が浮かび上がりました。
① 地方交付税の算定で5,000万円超の減額調整を招いた「大錯誤(算定ミス)」
令和6年度の普通交付税算定において、基準財政需要額でマイナス5,430万円、基準財政収入額でプラス836万円という双方の錯誤が発生していたことが判明しました。
その結果、令和7年度の普通交付税では5,060万3,000円もの減額調整が行われています。
なぜこれほど巨額の計算ミスが、幾重ものチェックをすり抜けたのか。自治体の根幹を支える財政事務において、ミスを防止・発見する内部統制が全く機能していなかった実態が問われています。
② 4,600万円超の「金券」を明文ルールなしで管理
令和6年度には、高齢者生活応援券など4,607枚・4,607万円分の金券が発行されました。
ところが、その管理・処分について文書化された規則が整備されておらず、監査委員から「当該管理処分には文書化した規則が必要」と指摘されています。
しかも監査報告には、過年度にも他事業で金券を発行した実績があったことが明記されています。初めての事業だからルール整備が遅れたわけではなく、過去からの常態的な無規律を監査に咎められたのです。
③ 約9億7,000万円、全予算の1割に達した「事業繰り越し」
令和6年度に翌年度へ繰り越された事業費は、約9億7,000万円。
これは全予算額のおよそ1割に相当します。監査委員は災害復旧事業を最優先した影響があったことにも触れていますが、それでも巨額の繰り越しに対して、
「執行できなければ次年度に繰り越せばよいという意識が常態化すると、予算作成業務も破綻しかねません」と強い警告を発しています。
単に「額が多かった」こと以上に、監査委員が行政側の「繰り越しを当然視する意識の常態化」にまで踏み込んで警鐘を鳴らしている点が極めて深刻です。
④ 数字の入力ミスと「スピード離職」「病休」——組織運営にも異変
問題は財政や金券管理だけではありません。
監査報告では、数値や文言への理解不足が「入力ミスや不完全な文書作成に繋がる」として、桁数チェック、校正、読み直しといった基本的な確認作業の徹底を求めています。
さらにヒューマンエラーについては、「不作為による不適切な事務作業が少数認められた」と明記。「少数」とはいえ、法令や規程で定められた義務の放棄が複数件存在するという異常事態です。
人事面でも、「スピード離職、病休も散見されています」という異例の指摘がなされており、組織運営の崩壊を物語っています。
財政、資産管理、予算執行、文書作成、人事——これだけ異なる領域で同時に問題が表面化している以上、「一部職員のミス」で済ませることはできません。
なぜミスを防げなかったのか。なぜ管理職のチェックで発見できなかったのか。なぜ必要なルールが事前に整備されていなかったのか。
4つの問題に共通して浮かび上がるのは、個々の職員の能力ではなく、御代田町役場全体の内部統制が完全に機能不全に陥っているという根本的な問題なのです。
芦屋市が証明する「透明性」という最大の住民還元
対照的に、芦屋市は「人間はミスや不正をする」という前提に立ち、それを個人の注意力だけに頼らず、システムで防止・発見・是正する内部統制を構築しています。
地方自治法上、内部統制制度の整備が義務付けられているのは都道府県と政令指定都市のみです。しかし、一般市である芦屋市はこれを自主的に導入し、令和5年度から本格実施しています。
市役所に「法務コンプライアンス課」を置き、市の組織に属さない弁護士や公認会計士が独立した立場からチェックする「個別外部監査制度」も導入。市長が毎年度作成する「内部統制評価報告書」を監査委員が厳格に審査し、議会と市民に全て公開しています。
芦屋市では、「リスク把握→対策→実行→評価→監査→公開→改善」というサイクルを制度として回しています。問題が起きてから担当者を注意して終わるのではなく、行政の品質を「個人の能力」ではなく「仕組み」で維持しようとしているのです。
その透明性を示す象徴的な事例があります。
令和6年度、芦屋市では最高裁判所裁判官国民審査の開票作業で誤りが発生しました。市はこれを隠さず、内部統制評価報告書に「本市の内部統制は評価対象期間において有効に運用されていない」と自ら記載しました。
ミスを「なかったこと」にするのではなく、自ら重大な不備と認定して公式文書に残し、監査委員の審査を経て市民に公開する。これが真のガバナンスです。
絶望的な格差を生んだ「議会の機能不全」
この両自治体の違いを見るうえで、行政を監視する議会の存在も無視できません。
芦屋市では、個別外部監査制度そのものが議員提出条例として議会から提案・可決されるなど、議会側からも監査機能を強化する仕組みが作られてきました。
一方、御代田町では、小園町長をめぐる公印不正・決裁飛ばし問題に対して第三者委員会の設置が議会で否決されるなど、議会の行政監視機能の欠如が幾度も問われてきました。
そして、監査委員から「不作為による不適切な事務作業」、巨額の繰越、金券管理ルールの未整備、スピード離職や病休が相次いで指摘され、5,060万円を超える普通交付税の減額調整まで発生しています。
「どんなに大きな問題が起きても、指摘されて終わり」では、ガバナンスは機能しません。監査で問題が発見された後、議会がその原因と再発防止策を追及し、行政が実際に改善したのかまで厳しく監視して初めて、行政は正されるのです。
10年後、20年後に待ち受ける残酷な結末
現在の行政運営の差は、10年、20年先の未来において、自治体の行政能力そのものを左右する決定的な格差となって現れます。
芦屋市のように、ミスや不備を記録し、原因を分析して改善策を次年度へ引き継ぐ仕組みがあれば、失敗は組織を強くする糧になります。一方、組織的な検証や再発防止が行われない御代田町では、担当者が替わるたびに同じ問題が延々と繰り返されます。
そして、御代田町についてもう一つ見逃せないのが、役場の総人件費の急増です。
御代田町役場の総人件費は、2010年の約8億3,000万円から、2026年には約19億7,000万円へ増加。16年間で約2.37倍にまで膨れ上がっています。直近の4年間だけでも約46%もの増加です。
莫大な人件費を投じながら、基本的な行政事務で監査から初歩的な問題を指摘され続けている。
人間が手作業で数字を入力・照合する仕組みを残していれば、ヒューマンエラーは必ず発生します。だからこそ、ICTやRPAによって人間が介在する工程そのものを減らし、システム側でチェックできる仕組みへ転換しなければなりません。
隣の軽井沢町では、すでにAI活用まで進めている
この違いは、遠く離れた先進自治体と比較しなくても分かります。
隣接する軽井沢町では、2024年度からDX推進計画を策定し、「人がやっている仕事を、どうすればデジタル技術で減らせるのか」という発想で、行政内部の業務改革をすでに進めています。
同じ時代、同じ地域で行政を運営していても、ICTやAIを使って「必要な人手そのものを減らす行政」へ転換できるかどうかで、将来の行政コストには埋めがたい差が生まれます。
さらに、職員のスピード離職が続き、必要なルールが整備されない環境では、人件費をいくら投入しても組織に知識や経験が蓄積されません。
「行政コストは増え続けるのに、行政品質が追いつかない」
ガバナンスが機能しない御代田町役場では、その弊害がすでに目に見える数字となって表れているのです。
学歴やSNSの綺麗な言葉に騙されるな
日本最高峰の学歴を持ち、X(旧Twitter)などのSNSでいかに立派な発信をしていても、行政の実力は経歴や言葉では測れません。
見るべきなのは、議会記録、監査報告、内部統制評価報告書、行政内部の規則、そして「問題発生後に何を改善したのか」という客観的エビデンスです。
御代田町の監査では、「不作為」「スピード離職、病休」「約9億7,000万円の繰越」「金券ルールの未整備」が指摘され、交付税算定の錯誤によって5,060万円超の減額調整まで発生しました。
一方の芦屋市は、問題が重大なら自ら「内部統制が有効に運用されていない」と公式文書に記録し、監査委員の審査を経て市民に公開する仕組みを持っています。同じようにミスが発生しても、その後の対応の質が全く異なるのです。
私たち町民が見るべきなのは、小園町長の経歴やSNS上の綺麗な言葉ではありません。
議会記録や監査報告といった「客観的エビデンス」から、御代田町の行政システムが本当に機能しているのかを厳しく検証する。令和7年の監査結果は、その必要性をこれまで以上にはっきりと突きつけています。









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