財政が厳しい自治体こそDXが必要
今、全国の自治体では、業務効率化を進め人件費を削減するために、DXの導入・運用を積極的に進めています。
特に財政状況が厳しい自治体にとっては、人件費のカットこそが唯一現実的な歳出削減策であり、他の自治体以上にDX化を推し進める必要があります。
しかし御代田町役場の予算書を見ると「システム標準化対応:7,686万円」との記載はあるものの、それがDX関連予算なのか、また国のDX交付金を活用しているのかは明らかではありません。ただ、少なくともDX関連経費が増えていることは間違いないようです。にもかかわらず、御代田町からは積極的にDXを進めて人件費を抑制しようという姿勢は見えてきません。
議会で問われた人件費削減効果
令和7年度第2回定例会では、内堀綾子議員が「DX化による人件費削減効果」について質問しました。その際の内堀総務課長(前企画財政課長)の答弁は、次のようなものでした。
御代田町役場の人件費が高騰している最大の原因がわかった
この動画で総務課長が人件費削減について「DXはやってみて、これから検証していく」って真顔で言ってる
こいつら絶対「業務評価指標(KPI)」の設定やらずに仕事してるわ
そりゃ、業務効率上がるわけないよなhttps://t.co/tRF0c4IZs4 pic.twitter.com/L9TLuUCK7D
— 御代田議会Z【町議選に立候補】 (@miyota_info) August 18, 2025
内堀彩子議員:過去にもデジタル化は業務効率業務の効率化を通じて人件費を抑えるというような趣旨の言葉をあの記憶しておりますがデジタル 投資の目的と効果や検証はどのように行われておりますでしょうか?
内堀総務課長:午前中の質問にもお答えしましたが、(DX化は)住民の手間を減らしまして、時間を短縮したり、それからより良い住民サービスの向上、こういったことを目的にして、これから、導入していくんですけど、これを導入したことによって、またその時間短縮しっかりできてるのか、そういったものが、これから検証していくことになっていくんだと思います。中略、デジタル化をしして並行していく中で人件費の増大についても、ま、検証していくもんじゃないかなという風に考えております。
答弁が示す計画性の欠如
DXにある程度知識がある人なら、この答弁の危うさはすぐに理解できるでしょう。
本来、DXの導入前には BPR(業務プロセス改革) や KPI(重要業績評価指標)の設定 が不可欠です。つまり、事前に「どの業務をどう改善し、どれだけの効果を見込むのか」を数値で示さなければなりません。
しかし総務課長は「導入してから検証する」と明言しました。これは、事前にBPRもKPIも設定していないことを裏付ける発言であり、DX化が「計画なき投資」になっている可能性を強く示しています。
DX交付金と架空KPIの疑念
さらに重要なのは、もし御代田町がDX交付金を申請しているのであれば、KPIの設定は必須要件だという点です。国の交付金を受ける以上、事前に数値目標を立て、事後に検証・報告を行うことは制度上避けられません。
ところが、総務課長の答弁からは、BPRはもちろん、KPIの設定すら行われていないことが明確に読み取れます。とすれば、仮にDX交付金を申請しているとすれば、実態のない「架空のKPI」を申請書に記載していたのではないかという疑念が浮かびます。
DX交付金の概要(デジタル田園都市国家構想交付金)
目的
地方自治体がDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて業務効率化や住民サービスの向上を実現し、地域の活性化と持続可能な行政運営につなげる。
対象事業
- 行政手続のオンライン化
- AI・RPA導入による業務効率化
- 庁内システムの標準化・クラウド化
- マイナンバーカード・マイナポータル連携活用
- 住民利便性の向上に資するアプリやサービス
財源規模
数百万円〜数億円単位の交付例もあり、自治体規模や事業内容によって配分額は変動。(※自治体は町費を一部負担するのが一般的)
交付金申請における必須事項
KPI(重要業績評価指標)の設定
- 「導入すれば終わり」ではなく、数値目標を明示することが必須。
- 例:処理時間の短縮率、削減工数(時間)、削減人件費額、オンライン利用率、住民満足度など。
ベースライン(現状値)の提示
- KPIと比較するために「導入前の業務時間や人員数」を明らかにする必要がある。
効果検証の実施
- 交付金を受けた自治体は、毎年度、KPI達成状況を検証し、国に報告する義務がある。
- 進捗や未達理由も含めてチェックされる。
PDCAサイクル
- 計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Act)を前提とし、成果を公表して透明性を担保することが求められる。
DX交付金を使うなら、KPI設定と効果検証は必須条件。
つまり「導入してから効果を検証する」という御代田町の答弁は、交付金の趣旨から外れており、もし交付金を申請しているとすれば「実態のないKPI」を提出している可能性を疑われても仕方ありません。
交付金を使わないなら先延ばしの象徴
一方、もし交付金を申請していないとすれば、これはこれで重大な問題です。
他の自治体が国の制度を活用してDXを推進している中、御代田町だけが取り組みを先延ばしにしていることになります。その結果、年々増加する人件費を抑制する具体的な対策が取られていないことを意味します。
町民と議会が確認すべきこと
町民や議会が注視すべきは、御代田町がどのような根拠でDX予算を計上し、どのように効果を測定しているのかという点です。
KPIの有無、ベースライン数値の提示、効果検証の方法と公表計画、そして国の交付金を活用しているのか――これらを明確にする責任が役場にはあります。
他自治体との鮮明な差
全国では既に、DXを通じて効果を数値化している自治体が多数あります。
- 愛知県一宮市
市税業務にRPAを導入し、年間296時間削減(▲39.8%) を実現。 - 茨城県つくば市
住民税関連業務にRPAを導入し、年間336時間削減 を達成。 - 埼玉県庁
庁内申請手続きや定型事務にRPAを活用し、年間約2万時間の削減効果 を報告。浮いた時間を住民対応業務に再配分する仕組みを確立しました。 - 埼玉県深谷市
庁内の財務会計や契約事務などでRPAを導入し、年間約3,000時間の業務削減 を実現。さらに住民向け手続きのオンライン化を推進し、窓口業務の効率化にも成功しました。
これらの自治体はすべて、事前に業務プロセスを洗い出し、KPIを設定した上で成果を検証・公表しています。
それに対して御代田町は、KPIの有無すら不透明で、交付金の活用状況も不明瞭です。このままでは他の自治体に比べてDX化が大きく遅れ、財政を圧迫する最大要因である人件費の高騰に対して、何の歯止めもかからない状況が続きます。
計画なき投資の末路
結局のところ、現時点では、御代田町のDXは「計画なき投資」に過ぎず、国の制度を活用しているのかすら曖昧なまま、町民の税金だけが垂れ流されているように見えます。
これでは人件費の高騰を抑えるどころか、無駄遣いを積み重ねて財政をさらに悪化させていると言わざるを得ません。
実際に令和7年度の人件費は 17億円超となり、前年度比で1億2千万円以上(+8.1%)の増加 です。これほど人件費が膨らんでいるにもかかわらず、抑制策もなく「導入してから検証する」という答弁で済ませている現状は、町民不在のまま役場の都合だけで進められるDXの象徴であり、未来を拓くどころか、財政を危機へと追いやる危険な道だと言わざるを得ません。
だからこそ、町民が注視すべきは、役場が実際にどのようなKPIを設定し、その効果をどのように検証・公表しているのかという点です。DXが本当に町民のために機能しているのか、それとも「見せかけの投資」に終わっているのか――このチェックが、御代田町の未来を左右するのです。
総務課長の不可解な答弁と不透明な関係
御代田町のDX答弁に立った総務課長は、過去にも企画財政課長として議会で「耳を疑うような答弁」をしています。
問題となったのは、小園町長が強引に入札参加を認めたとされる2者(談合の疑いがある業者)に関する指名競争入札参加願いの書類です。本来、規程で定められた保管期限内であったにもかかわらず、課長は「証拠隠滅ではなく慣例だから」という理由で廃棄していたと答弁しました。
Yahoo!ニュースとかで、指名参加願いの書類を廃棄した件が、官製談合でパワハラよりヤバイというコメントが散見されてるので、その書類廃棄した際の議会答弁を改めてご紹介
「証拠隠滅じゃなくて、慣例だから破棄した」と信じられない答弁してるね
文書保存規定より慣例が優先される御代田町役場 pic.twitter.com/ffj1DbfYzT
— 御代田議会Z【町議選に立候補】 (@miyota_info) March 10, 2023
公文書の適正管理は自治体の根幹であり、「慣例」を理由に証拠性のある書類を破棄することは、町民の信頼を大きく揺るがす行為です。さらに、この課長は小園町長に近い部下として知られており、立場的にも町長をかばうような答弁を繰り返している構図が見えてきます。
文書管理でも不自然な対応を正当化し、今回のDX関連の答弁でも、事前のKPIや効果検証を否定するかのような姿勢を示す―――。こうした言動を重ねていることを考えれば、この課長の姿勢そのものに「不正まがいの疑い」が強く漂っていると指摘せざるを得ません。
町民の税金と信頼を預かる立場にある者として、このような不透明な態度が許されてよいのでしょうか。御代田町役場に求められているのは「慣例」ではなく、「法令順守」と「透明性」なのです。
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